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「世界に誇る技術がここに!明石・神戸市西区の町工場をまいぷれ編集部が徹底取材」

「最新技術よりも、磨き続けた“手の感覚”。巨大な機械よりも、職人たちの情熱と工夫。明石・神戸市西区の町工場は、時代の変化に埋もれず、地域とともに進化してきました。見えないところで、確かに未来を支える“底ヂカラ”があります。」


明石の街角に、時を超えてミシンの音を響かせる一軒の店がある。昭和12年創業の「安東ミシン商会」。ここは単なる販売店ではない。一台のミシンを通じて、人々の暮らしとものづくりの文化そのものを支え続ける、いわば「明石のミシンの守り人」だ。その歴史と哲学に、記者が迫った。
取材の中で、店主が「一番喜ばれている」と語ったのは、購入後の徹底したアフターサポートだった。糸の通し方から些細な不調まで、説明書や動画だけでは解決し得ない利用者の「困った」に即座に対応する。その姿勢は「どんなことでも頼ってほしい」という想いに裏打ちされており、顧客からは「助かるわ」「また頼むわ」という感謝の声が絶えないという。
ミシン選びにおいても、その哲学は一貫している。「お客様の使用目的に合わせたミシンを提案する」こと。革を縫いたい人に家庭用ミシンを売っても、結局は縫えずに終わってしまう。だからこそ、何を作りたいのかを徹底的にヒアリングし、最適な一台を提案する。これが、購入後の満足度に直結しているのだ。
ミシンは丁寧に扱えば15年から20年は使える耐久性の高い道具だ。その長寿命を支えるのが、安東ミシンの確かな修理技術である。スタッフはメーカーで専門の研修を受けており、いわば「ミシンのお医者さん」だ。
特筆すべきは、「修理しても直らなかった場合は、料金をいただかない」というポリシーだろう。不調の原因を探る作業には多大な時間がかかることもあるが、それでもプロとしてのプライドを貫く。この誠実な姿勢こそが、長年にわたり地域から信頼されてきた揺るぎない基盤である。顧客は「いつもと音が違うな」と感じた時、安心してこの店の扉を叩くことができるのだ。
この店を訪れる人々は、様々な目的でミシンを求める。子どものための入園グッズ作り、思い出の着物を洋服へリメイクする年配の方、あるいは肌の弱い我が子のためにオーガニックコットンの肌着を縫う母親。ミシンは、それぞれの人生の物語を形にするための道具となる。
「家族のためにミシンを使っている人は、健康で幸せな人」という言葉があるそうだ。手作りに没頭する時間は達成感をもたらし、心に余裕を生む。実際に、子育てが一段落した60代から、自分の楽しみのためにミシンを始める人も少なくないという。それは、暮らしを豊かに彩る、かけがえのない時間なのだ。
創業から80余年。創業者の想いを継承し、100周年に向けて歩みを進めている。時代の変化とともに多くのものが移り変わる中で、安東ミシン商会はこれからも明石の街で、人々のものづくりに寄り添い、その文化を守り続けていくだろう。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。